機能や形状
材質や地域
本作は、魯山人が自ら焼成した陶板に牡丹図を描いた、極めて珍しい画陶掛額である。白化粧土の上に鉄絵によって牡丹と賛が描かれており、陶芸と書画が一体となった魯山人独自の世界観が強く感じられる作品である。画面右側には「満城公子酔」の賛が大書されている。これは「牡丹一日紅 満城公子酔」の一句に由来し、“牡丹の花は一日だけ紅く咲き誇り、町中の貴公子たちはその美しさに酔いしれる”という意味を持つ句であり、美の儚さと人々の享楽を表している。『続伝灯録』巻三十五「松樹千年翠」に見られる語句である。器面には、粗い土の上に白化粧が施されており、荒い土によって生まれる石はぜやざらつき、細かな亀裂などが複雑な景色を形づくっている。均質な白ではなく、土味や焼き上がりの荒々しさをあえて生かした表情に、魯山人らしい素材観がよくあらわれている。その上には、力強く生き生きとした奔放な筆致によって、牡丹図と賛が描かれている。掠れや滲みを交えながら一気に描き上げられた線には、書家として出発した魯山人ならではの勢いとリズム感が感じられ、荒々しい土肌の表情とも見事に響き合っている。また、本作の額装は魯山人自身によるオリジナル額装である。陶板の力強い表情を受け止めるように木製額が仕立てられており、作品全体を単なる陶板画にとどめず、一つの掛額作品として完成させている点にも魯山人の美意識がうかがえる。陶芸作品でありながら極めて高い絵画性を備え、さらに魯山人自作の額装まで完存する点においても、非常に希少性の高い優品である。作品表面に鉄絵サイン「魯山人」。
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