241.銀彩野草平向 6客(共箱)

機能や形状

  • 【虫絵】
  • 【向付】

材質や地域

  • 【銀彩】

241.銀彩野草平向 6客(共箱)

本作は、鮮やかな柿釉を基調とした平向に銀彩を施し、その表面を掻き落として草と虫の文様を描いた、北大路魯山人の装飾的感性が凝縮された逸品。そもそも釉薬は焼成によって生じる発色や景色に幅があるが、本作柿釉の焼き上がり自体は、魯山人本人が望んでいたような理想的な仕上がりには至らなかった可能性がある。しかしながら、それをあえて逆手に取り、銀彩を加えるという魯山人ならではの発想的装飾技法によって、器全体に新たな緊張感と詩情を与え、作品としてより高い完成度へと昇華させている点が特筆される。これは、素材の偶然性を受け入れつつ、それをさらなる表現へと導く魯山人の柔軟かつ大胆な芸術的姿勢をよく示している。微細な柿釉景色の上に銀彩を重ね、それを掻き落とし描かれた草文様は、まるで水滴が草に宿っているかのような瑞々しさを湛えている。その草の間にそっと潜むように描かれた虫の姿は、写実を超えて抒情性を帯び、器面に静かな物語性と季節感をもたらしている。草の線描は即興的でありながらも構成的な意図も感じられ、奥行きのある複雑な表情が生まれている。また銀彩の下に浮かぶ気泡状の痕跡は、水滴のように器面を点在し、全体に生命の気配を添えている。料理を引き立てるための実用器であると同時に、視覚的・触覚的に豊かな鑑賞陶としての価値も併せ持つ本作は、魯山人芸術の本質、自然と素材との深い対話を象徴している作品といえる。釘彫サイン「ロ」

半磁器の様な素地に柿釉を掛け、焼成後に柿釉の部分に気泡が多かったために気になったのか、銀彩を施して再生しています。風になびいた草文に立つ虫などを漆で下書きして銀彩を施しています。触覚や足などの生命感は魯山人先生特有のもので、躍動感のある活き活きとした表現です。漆を使うことで通常の蝋抜きとは違う線になっています。本作品の類品は少なく貴重です。高台内に「ロ」の刻銘があります

作者北大路魯山人
共箱
年代昭和25〜30年代
サイズ22.2 / H1.2㎝
価格(税別)23,700,000円

管理No.780

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