機能や形状
材質や地域
北大路魯山人の一字大書は、1920年代に制作された作品で、非常に希少な作例である。これらの一字大書は、北大路魯山人が書家として歩み始めるきっかけともなった、少年期の賞金付き「一字書き」公募に出品していた頃の記憶や感覚を、ふと呼び起こすようにして生まれた作品とも受け取れる。少年期の魯山人は、画材を買うための資金を得ようとこの公募に応募し、一字で評価される場に身を置いていた。一字にすべてを託し、その出来によって応えられるかが問われるこの経験は、書を理念や修行としてではなく、現実と結びついた表現として捉える感覚を彼に刻み込んだ。歳月を経て、再び一字大書に向き合ったこれらの作品には、書としての完成度や技巧を示そうとはしていない。大胆に取られた余白、整いすぎない字形、ためらいのない一筆は、その瞬間において他の言葉や形式を退け、あえてその一字を選び取った結果として立ち現れている。このような一字大書作品は極めて少なく、魯山人の創作の中において特異な存在感と希少性を示している。字義や書風の巧拙を超えて、なぜその一字がここにあるのかという問いをはらむ点にこそ、本作一字大書の魅力と価値があるといえる。各額:w49.5×h64.5cm (画:w35.0×h47.0㎝) 印「魯卿」 1920年代逆(ぎゃく)意味・語釈:流れに抗うこと、既存の方向を転じること。否定ではなく転換の意を含む。 一字書として:常識に縛られず、新たな視点を切り拓く強さを象徴する文字。
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