扇面のフォルムに千鳥と芦を配した情趣豊かな織部鉢瑞々しい織部釉の発色は抜群で、器肌に自然な濃淡をもたらしながら、絵付けと美しく調和している。さらに、鉢の側面には織部特有の幾何学文様が施され、造形と装飾のバランスが絶妙。鳥や芦といった自然のモチーフに、人為的な幾何が加わることで、静と動の世界がひとつの器に共存している。 魯山人が織部に取り組んだ背景には、桃山陶の自由闊達な精神への敬意と、それを現代に蘇らせる美意識があった。本作は、まさにその思想と技術が高次元で融合した一品であり、 「織部焼で人間国宝の認定を受けた」と評されるほどの完成度を備えている。なかでもこの扇面鉢は、料理屋や料亭が「魯山人作品といえば」としてひとつは持ちたいと願う代表的な意匠。器そのものが料理の格を引き上げるような、存在感と機能美を兼ね備えた逸品である。
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