本作は、魯山人の手による備前土の大平鉢。 径約32センチという堂々たる寸法は、料理を引き立てる大皿として存在感を放つと同時 に、置かれた空間そのものを引き締める力を持つ。 素朴ながらも重厚な備前土の質感は、料理の色彩を邪魔することなく静かに寄り添い、使 い込まれた銀による修繕が、かえって侘び寂びの美を深めている。料理が盛られていなくともなお漂う品格と風格は、魯山人作品に通底する「古美術」とし ての気配を存分に感じさせる。 識箱は、魯山人の真贋において最も信頼される鑑定者のひとり、黒田陶々庵によるもの。 鑑賞と実用、双方を兼ね備えた、まさに時を超えて愛されるべき一鉢である。
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