本作は、昭和23年に三越美術部で開催された「魯山人独創 第一回電気スタンド展」の出品作を想起させるもので、器物を単なる道具とせず、生活空間における美の象徴として再構築した、魯山人ならではの革新性が結晶した作品である。洋風の照明具にあって、和磁器の素材美と手仕事の品格を融合させた本作は、辰砂による柔らかな紅色と染付の青の縞文様を白磁に配した造形が特徴的で、垂直にのびる文様が壺形の丸みにリズムと動きを与えている。構造面においても意匠への徹底した配慮が見られ、口元ソケットおよび台座には、丈夫な木材を主に用い、機能部分を意匠的にカモフラージュし、革新的精神を象徴している。展覧会の趣意書において魯山人は、日本の真の陶磁器の価値が海外で十分に理解されていないことへの憂慮を述べ、電気スタンドという洋風生活具への応用を通じて「ほんものの」陶磁器を海外にも紹介しようとした志を語っている。そうしたことから、様々なタイプの壺・花瓶を西洋風のランプベースとして再構築し、既成の枠にとらわれぬ自由さと、美的実用性へと深く探究した。魯山人が日常生活の中に芸術が息づくことを願い作り上げた、時代を超える提案作品である。w12.5cm × h 34.0cm(シェード含む) サイン無し 1940年代 ※点灯ましますが、約80年前の電気部品です。ご使用には十分ご注意ください。
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