294.色絵紅梅と水仙図鉢(黒田陶々庵識箱)

294.色絵紅梅と水仙図鉢(黒田陶々庵識箱)


本作は、大正4年(1915)、魯山人がまだ「福田大観」と名乗っていた時代に制作された、きわめて希少な初期の色絵磁器作品である。加賀山代温泉・須田菁華のもとで、魯山人が本格的に磁器への絵付に取り組み始めた最初期の作例の一つに数えられる。白磁の器面には、片面に紅絵による梅樹と花が奔放かつ的確な筆致で描かれ、もう片面には淡く伸びる水仙の葉が配されている。構図は簡潔でありながら、画面全体に緊張感と伸びやかさが保たれ、余白を生かした画面構成には、すでに後年の魯山人作品に通じる美意識が明確に表れている。とりわけ注目すべきは、その絵付の完成度である。磁器の肌は紙とは異なり、思うように線を運ぶことが難しい素材であるが、本作ではそうした困難さをまったく感じさせない。筆は器面を自在に走り、幹の力強さ、花の柔らかさ、葉の流れが一気呵成に描き出されている。これほどの筆致が最初期段階で成立しているのは、魯山人がすでに書家として筆の扱いを身体化していたからにほかならない。書の世界で培われた筆圧、速度、間合いが、そのまま磁器上の絵画表現へと転化されている点に、本作の本質的な価値がある。器体には「大観学人」のサインが記されている。「学人」とは、特定の流派や肩書に安住せず、学び続ける者としての自己規定を示す呼称である。後年の華やかな魯山人作品とは趣を異にしながらも、書・絵・陶という三つの領域を横断する表現が、すでに高い次元で結実しており、きわめて重要な作品といえる。まだ若き日の魯山人が秘めていた非凡な才能と、その後の展開を予感させる、静かながらも強い存在感を放つ一作である。w22.2 × h12.1cm 赤絵サイン「大観学人」 1915年

作者北大路魯山人
材質陶磁器
価格(税別)¥5,000,000

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