機能や形状
材質や地域
本本作は、雄大な富士山を主題とした染付扁壺である。正面には裾野に松を配した富士山が大らかな筆致で描かれ、濃淡豊かな呉須によって、霞がたなびくような情景が表現されている。余白を生かした簡潔な構成が富士の存在感を際立たせ、魯山人ならではの伸びやかな絵付けの魅力をよく示している。背面には菊花文を一輪のみ簡潔に配し、正面とは対照的な静けさを感じさせる構成としている。さらに、高台脇には大きく「ROSANJIN」のアルファベットサインと「魯」のサインが、ともに染付で記されている。アルファベットによるサインは魯山人作品の中でも極めて珍しく、本作を特徴づける大きな見どころとなっている。造形は、緩やかに膨らむ扁壺形を基調とし、低く抑えた口部によって安定感のある姿にまとめられている。わずかな面の揺らぎや柔らかな稜線には手仕事ならではの温かみが宿り、白い器肌と染付の清澄な発色が美しく調和している。富士と松による吉祥の意匠、余白を生かした伸びやかな染付、菊花文を配した静謐な背面、そして極めて珍しいアルファベットサインを備えた本作は、魯山人の絵心と自由な造形感覚をよく伝える、染付扁壷作品の名品である。高台脇に染付「ROSANJIN」サイン。高台脇に染付「魯」サイン。
管理No.182
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