530.染付天上天下唯我独尊扁壺(陶々庵箱)

機能や形状

  • 【天上天下唯我独尊】
  • 【扁壺】
  • 【花入】

材質や地域

  • 【染付】

530.染付天上天下唯我独尊扁壺(陶々庵箱)

本作は、「天上天下唯我独尊」の八文字を扁壺の正面と背面いっぱいに描いた、魯山人ならではの力強い造形感覚が際立つ染付作品である。正面には「唯我独尊」、背面には「天上天下」と、ふっくらと張った器面を一枚の画面に見立てるように、大きな文字が堂々と配されています。文字は籠字で表されており、まず呉須で文字の輪郭を骨書きし、その内側を太筆で埋めるように描いています。輪郭を明確にとりながら、内側には呉須の濃淡や筆跡が残され、それが文字に力強さと豊かな表情を与えています。器面いっぱいに配された八文字は、言葉として読ませるだけでなく、一つの文様としても強い存在感を放っています。「天上天下唯我独尊」は、釈迦が誕生した際に唱えたと伝えられる言葉として広く知られています。魯山人はこの言葉を好み、書作品などにも残している。何ものにも代えがたい存在の尊さを説くこの言葉は、同時に、自らの美意識を信じ、妥協することなく独自の芸術を追求した魯山人の強烈な個性や、芸術家としての自負を思わせるものでもあります。本作では、その八文字を扁壺の器面いっぱいに大胆に展開しており、言葉の持つ力強さと魯山人自身の個性とが重なり合うような、非常に印象深い表現となっています。造形は、左右に大きく張った胴を有した扁壺形で、豊かな量感をもちながら、肩から一段くびれをつけて頸が立ち上がり、口縁へとつながっています。器面には手仕事による柔らかな揺らぎが残され、ふっくらとした造形と力強い籠字がよく響き合っています。さらに側面にも、魯山人ならではの巧みな意匠が見られます。型成形される扁壺は、表裏のパーツを合わせて形づくられます。本作では、その合わせとなる側面に沿って呉須の太い縦線がすっと引かれ、その周囲を細い線が螺旋状に巡っています。成形上生まれる器の構造をそのままにせず、そこへ染付を重ねることで一つの意匠として取り込んでいるところが実に巧みです。太い縦線は胴から肩、頸へと器の形に沿って伸び、正面と背面の力強い籠字とは対照的な軽やかな表情を見せています。器の構造と絵付けを切り離すことなく、一つの造形としてまとめ上げる魯山人の美的感覚がよく表れています。力強い籠字と呉須の濃淡、堂々とした扁壺の造形、さらに成形そのものを生かした側面の意匠まで、器の隅々に魯山人ならではの感覚が行き届いています。「天上天下唯我独尊」という言葉の持つ力と魯山人の強烈な個性が響き合った、数ある魯山人の扁壺作品の中でも希少な作例であり、ひときわ強い存在感を放つ逸品。側面下部に染付サイン「魯山人」(銀座黒田陶苑)

作者北大路魯山人
陶々菴箱
年代1930年代
サイズw21.2 × d13.4 × h20.3cm
価格(税別)16,300,000円

管理No.536

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