539.赤呉須玉取獅子鉢(共箱)

機能や形状

  • 【丸鉢】

材質や地域

  • 【赤呉須】

539.赤呉須玉取獅子鉢(共箱)

本作は、鮮烈な赤呉須と見込に描かれた玉取獅子との大胆な取り合わせが目を引く、魯山人の赤呉須作品の中でも極めて希少かつ重要な作品です。選りすぐられた魯山人作品が展示された1988年の京都国立近代美術館・神奈川県立美術館での「北大路魯山人展」にも出品されたほか、これまで数々の魯山人展に出品され、多くの展覧会図録にも掲載されてきた作品であり、その代表性の高さがうかがえます。大きく開いた深鉢の内外を鮮やかな赤で覆いながら、見込中央だけを円形に白く残し、その中へ染付で玉取獅子を描いています。本作の意匠は、古呉州赤絵に見られる玉取獅子鉢を踏まえたものですが、魯山人はそれをそのまま写すのではなく、周囲に配される文様を大胆に省き、器の内外を鮮烈な赤の大きな色面として構成しています。見込中央に描かれた「玉取獅子」は、宝珠に戯れる獅子を表した吉祥意匠です。濃い呉須を自在に走らせた力強く奔放な筆致によって、獅子の身体や毛並み、尾、宝珠を取り巻く線が複雑に絡み合い、円形の白地の中に強い動勢を生み出しています。視界いっぱいに広がる鮮烈な赤の中に白い円窓が鮮やかに浮かび、その中心で濃い呉須の獅子が躍動する構成は実に大胆です。赤呉須の器面には貫入が縦横に走り、その一筋一筋が赤の濃淡と重なりながら、長い年月を経た古陶を思わせる独特の表情を生み出しています。均一で平滑な赤ではなく、筆の動きや色調の揺らぎが残されているため、これほど広い赤の面でありながら決して単調にならず、深く豊かな景色となっています。広く鮮烈な赤の色面と、白地に躍動する玉取獅子との強烈な色彩と動静の対比が、本作に独特の緊張感を与えています。さらに興味深いのは、魯山人があえて貫入や口縁の欠損を伴う素地を選び、そこへ赤呉須を施すことで、古陶を思わせる趣を意識的に引き出している点です。古呉州赤絵の意匠を踏まえながら、古色ある肌合いを生かす一方、その構成を大胆に単純化し、鮮烈な赤を前面に押し出しています。古陶を単に模倣するのではなく、その魅力を自らの感覚で捉え直し、強烈な色彩と簡潔な構成による新たな表現へと昇華しているところに、魯山人ならではの美意識と造形感覚がよく表れています。鮮烈な赤呉須、白地を生かした大胆な構成、奔放な玉取獅子の絵付、そして古陶を思わせる貫入の景色。それらが高い次元で響き合った本作は、古呉州赤絵の伝統を踏まえながら、魯山人独自の色彩感覚と造形感覚によって新たな表現へと昇華された、赤呉須作品の中でも極めて希少かつ重要な逸品です。 高台内に赤絵サイン「ロ」(銀座黒田陶苑)

作者北大路魯山人
箱共箱
年代1949年
サイズw21.3 × h9.2cm
価格(税別)28,100,000円

管理No.927

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